おそらく物心がついてから最も古い思い出だろう。
保育園時代、僕が5歳くらいのときだ。
その日、授業(?)で跳び箱をやることになった。
ひとつの跳び箱をみんなで順番に跳んでいく。
当時運動神経は悪くなかったのでポンポン跳んでいたと思う。
スガヤ君という組の中心的存在がいた。明るい性格で運動もできるイイ男だった。
そのスガヤ君が跳び箱を跳んだとき、いきおいが余ったのか、頭からマットに落ちたのだ。
これには周りも大爆笑。
スガヤ君もケガはなく、失敗しちゃった☆テヘペロってな具合で、場は和やかムードに包まれた。
しかし一部始終を見た少年たかしの内心は
(俺もウケてぇな)
などと園児らしからぬ歪んだ自己顕示欲にまみれていた。
当時の僕は、恥ずかしがり屋さんというキャラが確立しており、あまりしゃべらず、自己主張しない子供だった。オシッコに行きたいことを言い出せずその場で全漏らしするほどであった。
その割に、みんなが歌ってるときに滑り台で遊んでみたり、みんなが体育館を同じ方向に走り回るときに逆走してみたりと、大人しさの合間から時折みせる大胆な行動はなんていうかイキり陰キャそのものであった。
スガヤ君の次は僕の番。
勢い良く走り出す。
いつもより前傾気味にジャンプ。
盛大に頭から落ちてやった。
お笑いの基本「天丼」というやつだ。
どないや?と後ろを見やるが、笑いはない。
そして先生が怒る。
「危ないでしょ!」
なんだよこれ。
いまだかつてない複雑な感情に、少年たかしは震えた。
スガヤ君は、頭から落ちて、爆笑もらって、先生にも怒られなかった。むしろ心配されてたくらいだ。
一方僕はというと、わざと頭から落ちて、さほどウケず、しかも先生に怒られた。
どうして同じことをしたのに、こうも扱いが極端に違うのか。
5歳の頭では理解が追いつかなかった。
今思えば自業自得としか言いようがないが、当時の僕は納得できなかった。
以上が、アラサーになった今でもたまにフラッシュバックする保育園時代の思い出である。
さっさと忘れてしまいたい事件だったが、改めて書き出してみるとなかなか面白いエピソードだ。
しかし思い返してみると、その後の人生も他人のネタをパクって評価を得ようとしてばかりだった気がする。
小学生の時に賞をとった絵もTVゲームのキャラクターを描いたものだし、漫画雑誌で面白かったネタをさも自分が思いついたかのように披露していたし、この記事もハルオさんのブログパクってるしリスペクトしてるし。
自分のオリジナリティで勝負した記憶がほとんどない。
オリジナリティほしいなあ。